<<10GHz 1W EME QSOレポート>> 2020年7月24日 チェコのOK1DFC ZdenekとOK2AQ Mirekが 3㎝(10368MHz) QRP EME QSO成功の知らせが入りました。 当日2局間のドプラースミア(信号拡散)が極めて低いことに気付き急遽QRP実験スタートした模様。 この実験で重要な事は、巨大な商業パラボラ借用等でなく双方一般的な大きさ(以下)の Dishである事です。 使用設備等は以下写真 OK1DFC 2.4m オフセットDish 1~50W OK2AQ 1.8m オフセットDish 40W 当日の最小周波数拡散が13 Hz、10GHz CFOM(Constant Frequency On Moon=月面ドプラ補正) JT4Fモードで実験をスタート。 50W では下の様に即簡単にデコード、 Zdeněkは電力を徐々に減らすことを提案しました。 *WSJTメッセージは以下全てOK1DFCの信号をMirek OK2AQが受信したものです。 *だれです地上波ではね~の? いや、時間差をご覧下さい、 約2.7秒は地球ー>月ー>地球の電波の到達時間差です。 時刻 強度 時間差 周波数 メッセージ (WSJT-X 補足) 徐々に電力を下げて行き、5 Wの電力まですべてがスムーズに進みました。 次に、Zdenkは電力を可能な限り低いレベルの1〜2 Wに低減しそれを下の様にデコードしました。 ただし、JT4F信号はすでに数回デコードされており、d *マークが付いています (=参照デコーダが使用された可能性示します) *Zdenek 1W送信時 JT4F受信画面 二人はさらに交信の信頼性求めQRA64Dモードに移行し実験を継続しました。 下画面はQRA64Dデコード画面です 一番右の「0」は、以前のセッションからの事前情報をデコードに使用する必要がなかったことを 意味します。 *Zdenek 1W送信時 QRA64D受信画面 次に信号強度のスペクトラン比較をしてみました。 当日最後の送信は1750Hz(このライン位置は私達の取り決めで「73」を示します) *下が1W出力時の73ラインメッセージ受信信号 *上の赤オレンジラインがZdenek 50W出力。 実験中、信号の「広がり」は60〜70 Hzに悪化していたことを付け加えましょう。 2局は 次の設備が使用されました OK1DFC:2.4 mオフセットDish、Tx = 1-2 Wから50 W、Rx = 0.7 dB N.F: OK2AQ: 1.8 mオフセットDish、Tx = 40 W、Rx = 0.8 dB N.F. この実験からいくつかの事が明らかになりました: a)この信号幅では、QRA64DはJT4Fよりも感度が高い(既知の事実)、 b)WSJT-X信号レベルの評価は非常に相対的であり、個々のモード間で比較できない (これも既知事実の検証) c)10 GHz帯で、1-2Wの小電力、それぞれが小さいアンテナでもEMEQSOを確立できます。 ただし、前提条件は、TRVならびに親機もPLLによる周波数の制御、ドップラーシフトの 正確で細かい補正、月の正確な「自動追跡」です。 そしてもちろん受信システムの最適化がとても重要です。 <JA1WQF加筆> 日本のアマチュア無線免許制度は他国に比べ比較にならない程煩雑な手続きがあり、 特にマイクロウェーブEMEの申請に関して法で定める基準を満たすのに大変苦労し、 それを証明する機器は公的機関で校正証明された物の使用条件が付きます (正面玄関から聞くとこの答えが必ずあります) 47GHzの例で、あるリース会社では基準が見れる校正された測定機の最低期間リース代金は 100万円近くの見積もりです。 *私の場合昨年10月申請、1月変更許可、2月落成届も検査待ち「コロナで予定たたず」です・・・・ 勿論測定機は自前使用予定、現在法にもとづいた試験電波は出し放題、早く検査に来て! と、そこで今回のQRP EME QSOレポートをご紹介いたしました。 日本でも簡単に許可になるトランスバータの法定出力「10GHz 2W」でEME交信がでるかもしれません。 何とかジャンクの1.8m以上のオフセットDishが入手出来れば道が開けます・・・・ 計算では1.8mと2.4mDishの利得差は2.5dBです Tnx Zdenek and Mirek De JA1WQF 笠井