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24GHzEME用DishとFeedの変更と改良 JA1WQF 笠井三男  Feb/07/2015 
 24GHzEME用DishとFeedの変更と改良 

 ここ何年かマイクロウェーブEMEを運用してきましたが5GHz、10GHzに比べて24GHzは格段に難しく、理由として
調整のシビアさ、様々な損失や特殊な伝搬、またデバイス入手問題など色々あります。
通信の相手方も「送受とも大きな余裕がない」ためこちら側も一定水準を越えなければ「聞こえない飛ばない」のです。

今回相当な時間をかけて楽しんで(苦しむ?Hi)きましたが、やっと「世界標準に近づいた」と思われる状態になりました。

マイクロウエーブEME以外でも何らかの参考になると思い今までの経緯をまとめさせて頂きました。

1)初代Dishから2代目に(以降24GHzDishは共に2.4mです)


初代6枚分割のTVRO、意外や意外これ良い感じでした   2代目1枚ものSolid Dish 24GHz初交信後に欲が出て・・
 
 1号Dishに関し、最初は何も分らず各バンドセットしましたが、今から思えば「そこそこの性能」は出ていた様です。
初代から右の2代目に、F/D3.2のやや深いDishですがこれで24GHz初交信を含め国内外7局と9QSOを達成。

2)三代目Plodelin製に変更して


 このあたりから他の局比較で「自分の位置」が理解できるようになり、不満が出てあれこれ考えるようになりました。
ゲインが不足している・・・「どうも2代目はFD比3.2と言うやや深いDishでゲイン重視では無いからか?」と考えました。
そしてアマチュアでも評判の良いPlodelinを入手し載せ換えを致しました。

 プライムフォーカスにしましたが良く有りません      Feedまわりの問題か?とカセグレンに変更、あまり上がらず
 
右上写真は一定条件で副反射鏡曲面の計算値が手持ち32㎝の浅いお皿に近かったので、裏面を使用、しかし・・・・・
原因は副反射鏡の「精度」と決めつけました。

3)副反射鏡32㎝特注製作とDishアルミ貼り
新副反射鏡を取りつけ+1.2mmメッシュ補正のアルミ貼り開始    そして完成・・・・しかし良くない、上りが少なすぎ。
 
 Plodelin DishはFRP製でステンレスメッシュを貼りつけたものをコートして出来ています。
私のもののメッシュ目は1.2mmで「メッシュ10分1波長理論」24GHzぎりぎりで気になるためアルミを表面に貼り付け。
50mm幅50m巻きテープを7本使用いたしました。

4)カセグレン微調整、しかし思った効果が上がらずFEED方法の変更


カセグレン+アルミ貼り、Feed種類・位置や角度、サブレフ位置、角度などなど時間をかけましたが、大きな改善無し。
その原因は受信、「Feedに至る長くなった導波管の損失でNFが悪化したもの」の考えでFeed切り替えBoxを前面
に出しLNAに至る導波管損失を低減しました(下写真)


5)効果ありでテスト運用 

この状態で1月23日、諸条件が良い時にJA4BLC又賀さんとスケジュール結果が下の写真、もちろんCW音で返ります。
この又賀さんと私のエコーは24GHzとして立派なものと思います。
    <又賀さん24GHz CW信号>                      <私のセルフエコー>
 
 しかしサンノイズ・ムーンノイズとも今一、その後エコーテストを繰り返しましたが、やはり少々不満が残ります。

6)どれも期待ほど上がりが無いぞ!

 で、またまた考えました。「どうも今一つ上がらない理由は今までやって来た事と違うようです」パラボラ性能は
主鏡あるいは副鏡の精度と フィードホーンの「放射角」にありそうだ!
 又賀さんとやりとりでふと気が付き、私の副反射鏡は仮想FD=1で設計製作してあり狭い角度の放射が求められます。
狭い角度で良好な特性を持つFEED何かないかな~ で捜しましたところ意外と近くに参考を見つけました。

7)やっと正解が見えてきたようです

24GHz版 www.ntms.org/files/Sep2012/2012_24GHz_EME_F.pdf     15ページにあります。
77GHz版 www.ntms.org/files/MUD2010/WA5JAT_78GHz_Feed.pdf       たぶん良いのでは?是非お試しを

 共に皆様が大好きなオフセットDishのF/D比0.7に合わせたFeedです。
下に書きますように参考に近いものを作り、フレア(お猪口広がりホーン)角度を私自身の開口角に変更しました。
*当然10GHzにも応用が効く事でこの次に挑戦する「10GHzカセグレン用Feed」も、これを10GHz用にアレンジ致します。

8)結果の前に・・・めんどくさくない24GHz IMUロングホーンの作り方

 
                写真A                                  写真B
写真A)  ホームセンターに行き、給湯用の銅パイプ、継手を購入しどんどん試作しましょう。
     何といっても継手は100円台から・・安いです、ネタも容易に手に入り「失敗を恐れずにじゃんじゃん行けます」

写真B)  1)12.7mm(内径約10mm)パイプをWR42に合うよう潰し導波管フランジに半田付け
     2)22.2mm/12.7mm異形ソケットは上記の角度(幅)が2種類あり広い方(14mm位)が良い無ければ短(写 真)でも可。
     3)22.2mmソケット+異形ソケットの長さをwebのIMU寸法に合わせて「ソケットをカット」この2つは半田付けはしな い
            4)フレアの製作  小学校で習った円錐台の展開図なんて忘れましたね。
    http://blawat2015.no-ip.com/~mieki256/diary/img/20120208_tenkaizu/
   これを銅板0.3mm~0.5mmに罫書きフレア作成。下写真の様に22.2mmソケット(外形約24mm)に半田付け。
 *このフレアの半田付けの時に治具として22.2mmの銅パイプも買いましょう、10GHzのFeedに使えます。

8)そして出来上がり!!そして結果・・・ すごく好いです!
    開口角度を3種類製作しました                       Feedに取りつけました
 
 
上の22.2mm異形ソケットに「フレア半田付け部分」をIMUホーンに半田付けしないのは色々な角度・大きさのスカート
をアルミテープ止めで簡単に変えられるからです(OKになり次第、気になる人は半田付け)

9)フレアの種類と特性

 始めに比較のFeed設置点はフレアを取りつけて再調整したため IMUホーン単体焦点から約17mm副鏡に近づいた
位置にあります 。
*Feedの焦点はどこにあるか!?一般的に考えるのは「フレアの少し内側」です が・・・
  違いました。IMUホーン単体焦点に近い所でした


FeedサンプルA  私のカセグレン設計開口角にあわせたフレア
    サンプルB  Feed設置点から副鏡に開口角を合わせたもの
    サンプルC  フレア開始を17mm戻し開口面を合わせたもの
    IMUフィードのみ  フレアを取り外しIMU単体

           G/CS   サンノイズ              ムーンノイズ
サンプルA   3.8dB       13.2  13.0  13.1dB(3回計測)    1.9dB
サンプルB       3.5dB       13.0dB                  1.75dB
サンプルC       3.2dB       12.5dB                                           -   夜間寒く、悪い結果が予測できたため未測定
IMUのみ          2.2dB       10.2dB(焦点より17mm後ろ)            -               〃

 結果サンプルAが一番良いようです。
このサンプルAは展開図から32㎝の副反射鏡の外側2~3㎝を使用して いない様に見えますが、100%(にしたつもり)
のサンプルBと 比較でサンノイズはあまり変わりませんが、外来ノイズやムーンノイズともにAが有利の様です。
サンプルCは明らかにAより劣りそうです。

 ここでIMUホーン単体にして見ましたところ、大きくサンノイズが落ちG/CSも宜しくありません。
1)焦点が有っていないからか
2)F/D比が0.7あるいはそれ以下のため
また、その複合と思われます。

*私の場合フレア付きの効果が大きい理由はFeedホーン単体では出しにくい 狭い輻射角の要求だからではないで
 しょうか。  計算ソフトによりますと開口角は56度です。

前記8)写真ホーン3種類のグレー色が今まで一番良かったですが、こ のIMU+ フレアホーンはこれと比較し
サンノイズで約1.5dBーンノイズで0.4dBも 「劇的に」上昇しました。
今までのグレー色ホーンも時間をかけて、5~6種類比較後の選定でしたが、これ程の違いは初めてです。

「ちょんと作り、ポンと載せ、ごそごそFeedを前後しただけ」で今迄に無い効 果、正直驚 きま した。

私の場合は見かけのFD比が大きい浅いお皿用ですが、一般のオフセットDishにも、フレア放射角度など調整し効果が
期待できそうな気がします。

 アンテナの各種調整改善の結果は送受ともに係わり、EMEの様に微弱な電波の対応にその効果は絶大です。
皆様もどうぞ参考にして頂き色々とテストしてみては如何でしょうか。

De JA1WQF  笠井三男